平成26年陸上自衛隊降下訓練始めレポート
H.26 JGSDF |
平成26年陸上自衛隊降下訓練始めを見学に、習志野まで行ってきました。
MaZも急に予定が空いたので、開会の挨拶などは間に合わなかったため省略。 並んだ屋台でちょっと焼肉とかつまんでましたが、年々増える親子連れ。 数年前に総火演を見に行った時や、翌年の富士学校祭、更に次の年の 下志津高射学校の開放イベント(つつじ祭り)と自衛隊イベントは見てましたが、 親子や家族での来場(ベビーカーに赤ちゃん乗せてくるほどの人も)が増えてます。 2011年以降の自衛隊に対する評価の向上か、極東の軍事情勢のキナ臭さから来る 国防への関心の向上かは分かりませんが、好ましい傾向にあると思われます。 また、米軍の海兵隊と思わしき方々が見学がてら、屋台回って談笑してました。 降下訓練始めと言うだけあって、メインはCH-47チヌークやC-1輸送機からの パラシュートによる空挺部隊の降下です。かつて、日本軍で空挺部隊の事を 空の神兵と讃える言葉がありましたが、まさにその現代版といった所です。 UH-60ブラックホークに代表されるような強襲輸送ヘリによるヘリボーンの方が 有利な印象を受けますが、それにはヘリの着陸地点の確保が第一となる事、 降下したヘリが襲われやすくなるという事を考えると、空挺部隊の降下も 有効な作戦行動でしょう。何より、C-1輸送機の速度や高度、キャパシティを 生かした空挺降下の威力は、ヘリには出せない大きな利点と思われます。 延べ十数機のCH-47とC-1により、100名以上の隊員が降下、一機あたりでは CH-47から5名、C-1から10名ずつの降下でしたが、実戦で行われる時には もっと多くの隊員を降下させるか、分隊支援火器の降下も予想されます。 それによって着陸地点を確保すれば、さらに火砲や迫撃砲、軽車両の投入による 戦力の強化が可能になり、ドリルで穴を開けるかのように進撃出来ます。 とは言う物の、低空飛行する航空機のハッチから飛び降りてパラシュートを開き、 向きを微調整して互いが離れないよう、衝突しないように降下し、 すぐに動けるように着地してパラシュートを速やかに回収という一連の動作は 一朝一夕で出来るわけがなく、日頃の厳しい訓練の賜物であるという事を ひしひしと感じさせられました。 降下の後には実戦を想定した演習ですが、やはり近年の緊張からか、 島嶼奪還作戦を想定した内容となっていました。海空自衛隊による攻撃の後、 陸揚げされた戦車、火砲の展開を支援する形でヘリ部隊が続々と登場。 OH-6カイユース、OH-1ニンジャによる偵察が行われ、敵勢力の配置などを確認。 続いて敵陣に打撃を与えるべく、AH-64Dアパッチロングボウ、AH-1Sコブラ二機による 機関砲や対戦車ミサイル、ロケット弾による対地攻撃が行われ、さらにFT-70 155mm砲が砲撃、そこに地上部隊による陣地制圧が行われるという内容でした。 AH-1S二機は他のヘリと比べてかなりアグレッシブに飛び回っており、攻撃の際も 低空から近づいて一気に高度を取り、正にコブラが獲物に襲い掛かるような挙動で パイロットの技術の高さを見せ付けました。戻る時は来場者席の前をフライパス するのですが、その時も二機がツイストするような軌道を描いて飛び去り、 西側初のAH(攻撃ヘリ)ナンバーとしての貫禄を見せ付けるような派手さでした。 OH-1、AH-64Dはどちらかというと前線を広く視認する管制機のような役割が多く、 特にAH-64DはFT-70の砲撃の際、その上空で着弾観測を行うような立ち位置だったので、 実際の運用もそれに近いものと思われます。お値段も張りますし… OH-1はニンジャの二つ名に相応しい変態飛行で知られていますが、実戦を想定した 演習だったので目立った動きはなかったものの、本当にヘリが飛んでいるのかと 思わせるほど静かな高速飛行が可能で、そこは確かに忍者だ、と関心しました。 OH-6は今年で習志野の演習に参加するのは最後だという話を小耳に挟みましたが、 確かにCH-47以外で今回の演習に参加したヘリのうち、サイドバイサイド型 (操縦席の座席が左右に並んでいるタイプ)はOH-6だけだったので、このあたりは 世代の移り変わりを感じさせるのですが、個人的に丸みを帯びたヘリは好きなので ちょっと寂しさを感じてしまいますね。 余談ですが、米軍ではOH-6を輸送ヘリや攻撃ヘリにも使ってますが、最近では 遠隔操作の無人機にして偵察や攻撃を行わせる計画があるのだとか。ヘリは緊急脱出が 難しいので、合理的と言えば合理的ですが、好きな人からすればラジコン化 してしまう事に抵抗を覚えるかも知れない話ですね。 装備品展示には、最近メディアへの露出が活発になってきた96式多目的誘導弾、 ペトリオットPAC3、03式中距離地対空誘導弾(ランチャー車のみ)に加えて、 おなじみのFT-70 155mm砲、74式戦車、10式戦車、96式装輪装甲車がお目見え、 演習場入り口には軽装甲機動車、120mm迫撃砲、航空気象装置、化学防護車、 ヘリはCH--47、OH-6、OH-1、AH-1S、AH-64Dが並んでいました。ちなみに、 今回の演習に参加した部隊の都合上、UH-1とUH-60は来ていませんでした。 総評としては、陸上自衛隊の練度の高さを十分に堪能出来る内容で、これほどの 動きを見せ付けられれば、仮に島を奪われようとも早期の奪還が可能と判断され、 攻めようにも攻められず、立派な抑止力として期待出来ます。その方が傷つく人も 少なくて済みますし、事を起こさせないようにするための戦力という観点であれば、 自衛隊のレベルはかなり高いと見ていいでしょう。もちろん、何かあってからの 対応にも期待出来ます…が、こちらは国のトップ如何なので怪しいところですが… おまけ 演習場の入り口から実際の会場までは距離があり、シャトルバスが出ていたのですが、 バスとは別に高機動車に載れるサービスもありました。もちろんかなり並びました。 でも、陸自の車両に乗れるという貴重な機会だったので、乗らせていただきました。 |